直売所の惣菜
直売所の総菜や弁当は野菜・果物に次ぐ人気商品だ。しかし、味は?衛生は?といえば、多くの人たちが雑多にかかわっているだけにちょっと怪しいところもある。八日市場の大木秀子さんのような味覚と製造のスペシャリストがどこにでもいるわけではないからだ。特に、地元業者のものは、輸入材料や冷凍食品を使ったり、調味料の質があからさまに悪い。
原材料の確かさから言えば農家づくりのほうが絶対よい。しかし、愛情があっても知識と技術が足りずマンネリ化が心配だ。おふくろの味、手づくり、直売所の雰囲気など、ムードで売っているようなところもある。
さて、来年建設する或る道の駅でも名物に手作り惣菜を考えている。で、講習会を開くことになった。農家の中で出荷希望者も多い。しかし、ほとんどの人が商品化の経験はない。彼女らの調理技術をあげていくにはどうしたらよいのか、そこら中にある道の駅との差別化をどうしようか?問題は結構ある。
たぶん腕自慢たちは、人の言うことは聞かないだろう。研修会には来ることと、理解することは別物である。教育というものは世代を問わず、実に効率が悪い。ましてや私には手の負えない「料理」である。私だけでなく行政の担当者ももっとも苦手とするところだ。
そんなこんなで、一流なら話を聞いてもらえるだろうと、知り合いのシェフの店(4年連続ミシュランの一つ星)を予約した。フランス料理は時間がかかるので、道の駅の担当者たちと食べながら考えることにしたわけである。・・・そこで思い付いたのは「名物!道の駅弁」である。
シェフに地元材料を提示し、そこから商品化をイメージし、そのなかから食材の組み合わせ、調味料の作り方などの基本を実演講習していただこうというわけだ。
「無料だと、本気でない人も来ちゃうね」
「料理学校でも居眠りする生徒、結構いますよ」
「ビデオで見せるのはどうかしら」
「味だけでなく香りがわかるので実演のほうがいいですよ」
「試食品もあったほうがいいね」
などなど、どうやら講習会のめどが立ったのでお暇することになった。
と、外は土砂降り!なんだこの雨は!
スペイン産 イベリコ豚 肩肉のグリエ モロヘイヤソース
Porc IBERIKO gllier sauce MOROHEIYA
能登島の赤土野菜と土浦の完全無農薬野菜のエクスポジション
Assiette de Legumes
小さいものが好き
神奈川県厚木市のうすいファーム直売所。10坪ぐらいの小さな店なのだが、大変繁盛している。自家生産の豚肉はもちろん、コロッケやメンチカツなどが人気だ。
特徴は小さな店を丁寧に作りこんでいることだろうか。内臓から始まる豚肉関連の商品群の充実だけでなく、隣のカット工場は食肉処理の作業風景が見え、職人は見学者を意識してかネクタイをしている。店員の帽子にも豚の耳がついている。焼肉のラベルには「養豚場の・・・」という但し書きがつく。
茶室での儀式を好むように、日本人は狭い場所でのさりげないこだわりに弱いのかもしれない。
私が、この店を面白いと思うのは、ここに至る経緯を知っているからだ。
7-8年前になろうか、あのドン・キホーテが産直の店を始めたいというので、コンサルをしたことがある。いまも、厚木市のメガドンキに「相模の国の駅」として営業している。そこに、臼井社長にお願いして、豚肉直売所をテナントとして出店していただいたのだ。現在専務としてうすいファームを仕切っている小杉さんが責任者として赴任した。
なにしろずぶの素人だから、苦労したと思う。メガドンキには人は来るが、ほとんどの目当ては農産物ではない。斡旋した私も心が痛むところがあった。ところが、彼はどうやらその仕事をとんとんでこなし、適当なところで、以前厚木ハムが経営していた現在の場所に移転したのである。
立地はさほど良いところでない。メガドンキとは比較にならない。ところが、先に述べたように、商品から店舗の内装、外装まで手づくりで、しかもきめ細かく作りこむことで、消費者の心を見事にとらえたのである。
直売所甲子園2015地区予選大会
下記の要領で直売所甲子園2015地区予選大会が実施されます。ご興味のあるかたは、事務局03-5913-2627にお問い合わせのうえご来場ください。お待ちしております。
直売所甲子園2015地区予選大会実施要領
1.取組の発表(プレゼンテーション)と質疑
(1)発表者 2名以内
(2)発表時間 12分
要領よく直売所の概要と取り組みのポイントをご説明ください。時間厳守でお願いします。
(3)質疑応答 5分
審査委員との間で質疑応答があります。
(4)発表方法
・パワーポイントスライド、動画等による説明およびパンフレット等
・PCは事務局が用意しますのでUSBメモリーもしくはSDカードをご持参ください。PCをご持参いただいてもOKです。
・発表内容をまとめたA4版3ページ以内のレジュメを1週間前まで事務局にお送りください。
2.審査方法
(1)事前に参加直売所が申込書に従い規模別にカテゴリー分けされます。
(2)発表に基づき審査委員による審査と審査項目別に採点がされます。
(3)参加者の代表による、自団体以外の優れた団体への投票とそれに基づく加点が行われます。
(4)カテゴリー別に各会場で、優秀団体が選ばれ、決勝大会へ出場する代表直売所が決まります。
(5)3か所で時間を置いて実施されるために、各会場で1団体程度の「代表候補」が選出されることもあります。
3.審査項目
下記の項目が採点されます。
①直売所経営としての自立性 ②責任者(リーダー、店長)の志や考え方 ③ビジョン(目標や方針等)の明確さ ④出荷者農家の所得向上対策 ⑤一般的サービス(品揃え、鮮度、荷姿、おもてなし)の状況
⑥直売所運営上の課題へのチャレンジ状況 ⑦直売所運営による地域への波及効果 ⑧ここならではの、独自性のある取り組み
4.地区予選開催日時
【A近畿・中国・四国・東海(愛知)ブロック】
9月30日(水)12:45~17:00
大阪市立生涯学習センター第1研修室
〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-500 大阪駅前第2ビル5・6階 TEL 06-6345-5000
【B九州・中国(山口)ブロック】
9月28日(月)13:00~17:00
NHK福岡放送局よかビジョンホール(予定)
〒810-8577福岡県福岡市中央区六本松1-1-10 TEL 092-724-2800
【C東北・関東甲信越・(静岡)ブロック】
10月1日(木)12:40 13:00~18:00
JA共済埼玉ビル G会議室
〒330-0801 埼玉県さいたま市大宮区土手町1-2
5.地区予選大会審査委員
Aブロック
岡山克己氏/岡山フードサービス、楠本貞愛氏/京都きたやま南山、大原興太郎氏/三重大学名誉教授
Bブロック
佐藤弘氏/西日本新聞社、本田節氏/人吉市ひまわり亭、三善 浩二氏/九州農政局
Cブロック
榊田みどり氏/ジャーナリスト、岡浩則氏/農業共済新聞、森岡亜紀氏/まちむら交流きこう
6.入場料
会場費として1000円/1人
出場直売所の経営者、職員、出荷者は無料
7.出場直売所
Aブロック
あぐりん村・愛知県、あいとう直売館・滋賀県、A越前丹生農産物直売所丹生膳野菜・福井県
産直市場よってって・和歌山県、星の郷青空市・岡山県、ふるるファーム・京都府
Bブロック
道の駅きよかわ・大分県、おおむら夢ファームシュシュ新鮮組・長崎県
農家直売所大地のめぐみ・長崎県、平戸瀬戸市場協同組合・長崎県、田布施地域交流館・山口県、大分大山農業協同組合木の花ガルテン・大分県
Cブロック
伊豆・村の駅・静岡県、南三陸直売所みなさん館・宮城県、藁科しんま路・静岡県
とんとん市場新発田店・新潟県、えるふ農国・茨城県、
洋野町大野農産物直売所ゆうきセンター・岩手県、ふれあいファームセンター・埼玉県
産直あぐり・山形県、みずほの村市場・茨城県
洋野町大野ゆうきセンター~松茸発見!
見かけはボロでも生産者が時間をかけて中身をしっかり作った直売所が好きなのだが・・・例えばみずほの村市場。こういう施設は、消費者に認知されるまで時間がかかる。また、設備を継ぎ足すので見栄えが悪い。直売所が少なかったころはそれでもよかった。しかし、いまやインショップや道の駅などが乱立し、生産者は引く手あまたである。みんなで力を合わせてじっくりと・・・では、とうてい我慢できなくなっている。
さて、岩手県洋野町に1994年に開設したおおのキャンパスという複合施設がある。27ヘクタールの土地に道の駅、ミルク工房、産業デザインセンター、パークゴルフ場など18の施設を備え、休日には盛岡や八戸からも人を集める地域の拠点だ。
その中にある農産物直売所がこのゆうきセンター。過疎、人口減少、高齢化が進むこの町この地域にあって着実に売上を増やしている。
大金をかけたこのような施設は、開設当初はいいが、徐々に停滞し20年も過ぎれば寂れてゆくのがふつうである。たぶんパークゴルフ場などは、売上を減らしていることだろう。にもかかわらず、しぶとく伸ばしている理由をあげれば、まじめに取り組む生産者とリーダーシップ、店長の頑張り、管理する公社の理解などを背景に、ものづくりと販売に戦術を持って取り組んでいるからだろう。
たとえば、キノコ関連商品の充実、東京都調布市の直売所との積極的な連携等があげられる。本来直売所は産地へ人を誘客するのが目的だ、と原理主義を唱えても、地域全体で人の減っている現実に目を背けるわけにはいかない。外部へ打って出ることも、生産者を勇気づける上では必要なことである。
売場は特産のホウレンソウやきのこ類のほかにも加工品が充実している。しいたけドレッシングはシャレではなく、しっかり売れているそうだ。特産のマツタケの出荷がいよいよ始まったという。
単価が5000円を超す商品が売れれば、売場としては一流だ。
地元の集成材を使った店舗内部
農産加工品は2名の生産者が工房で交互に作る
シャレではなく、良く売れている
段ボールのPOPはなかなかよい
高価なマツタケを目当てにやってくるお客さんも少なくない